1-1 MVVの価値

2021年5月2日

スタートアップは、不便や不満の存在する世界から、「不」が解消された世界=ビジョンを目指していく。

ミッション・ビジョン・バリューがなぜ大事なのか

スタートアップCXOにとってPMF(製品市場適合状態)後の最も重要な仕事の一つは、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の策定である。
事業家(CXO)はMVVの策定を通じて、事業の最も本質的な自問をする必要がある。

・我々はなぜその事業をやるのか? (Mission:ミッション)
・我々はどこを目指すのか? (Vision:ビジョン)
・どのような基本指針/行動指針を持つのか? (Value:パリュー)

このようにMVVの明確な言語化は、スタートアップにとっての最強の武器になる。

事業家(CXO)に、MVVを作ったり活用する能力が欠けていると、企業成長の大きなボトルネックになってしまう。

・企業のカルチャーを作ることができない
・企業のカルチャーに合った人を採用できない
・メンバーのエンゲージメント(会社に対する愛着心)を高めることができない
・プロダクトの提案価値が弱くなる
・意思決定の質とスピードが落ちる

MVVは顧客に対する独自の価値提案からなる

PMF(製品市場適合状態)ができたとして、真っ先に行うべきことは、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の策定だ。

PMFとは、顧客に対する独自(ユニーク)な価値提案が実証された状態のことである。
これが実証できていない状態で、MVVを定めてしまうことは、「作り手」の一方的な発想になってしまう。
“プロダクトという形態”を構築しなければ、ビジョンやミッションという“魂”を入れることはできない。

会社ですでにMVVを作っていたとして、まだPMFできる確信がないなら、PMF後に改めて作り変えるぐらいの気持ちで臨むべきだ。
実際にプロダクトを使って価値を感じた顧客の声(VoiceofCustomer)を集め、社内に貼り出し並べてみる。
カスタマーの声の中から滲み出てくる言葉や熱い思いは何だろうか?
それが自分たちにとっての唯一無二のミッションビジョン・バリューを生み出す重要なインプットになる。

WHYから始めよ

社会を巻き込む力を持つリーダーは、「WHAT」ではなく、「WHY」から考え始める点が共通しているといわれる。
優れた企業というのは、どんな大きなサイズになっても、まずはこの「WHY」という問いかけから始まる。
「なぜ我々は存在するのか?」「顧客に対する我々の価値は何なのか?」これらを自らに突きつけ、そこを起点にあらゆる意思決定をするのである。

「WHAT」は、企業が提供するプロダクトやサービスを指す。
「HOW」は、プロダクトやサービスをどのような独自の手法で提供するかを指す。
「WHY」は、プロダクトやサービスをなぜやるのかを指している。

WHYを起点にする

道端でレンガを積んでいる3人の男に、通りがかった男が「君たちは、何をしているんだい?」と尋ねる。
1人目は、「レンガを積んでいる」と答える。
2人目は、「賃金をもらうために働いている」と答える。
3人目は、「歴史に残る偉大な大聖堂を作っている」と答えた。

「WHAT」にフォーカスした企業で働く人は、「レンガを積むため」「金銭的報酬のため」に仕事して、ただ単に「作業」をしている状態である。
「WHY」から熟考されたMVVが浸透している企業で働く人は、「なぜ、このプロダクトやサービスを行うのか?」「我々は、なぜ理想とする世界/社会を実現したいのか?」という、
「大義」や「意味」を考え存在価値に即したマインドを持てる。

ミッション(Mission)/ビジョン(Vision)/バリュー(Value)の定義

スタートアップは、不便や不満の存在する世界から、「不」が解消された世界=ビジョンを目指していく。
その過程で必要になるのが戦略であり、その戦略を施策レベルに落とし込むのが戦術である。
それを実行するのはチームであり、チームの行動指針や基本方針を支えるのが価値基準=バリューである。
この営みの全体を支えるのが経営陣の思いや、自社の存在意義=ミッションである。

・ミッション(Mission) 事業を通じて、社会にどう貢献するか、社会で実現したいことは何かを示したもの。
・ビジョン(Vision) 自らの意志を投影した未来像のこと自分たちが心の底から達成したいと願う未来。
・バリュー(Value) 取組みの優先すべき基準で、前提として顧客に対する独自の価値提案が実証されていなければならない。

どんなに、心を動かす言葉でMVVを表現できても、最も重要なステークホルダーである顧客に対して、その価値が訴求できなければ意味はない。

➡ MVVは企業のDNAへ続く

Posted by startup103