DX分析 プロセスマイニング

【プロセスマイニング】
プロセスマイニングは、業務プロセスの処理パターンをイベントログデータの蓄積により可視化し、改善ポイントを具体的に特定することで業務効率化を支援する手法。
自社製品の受注、納品、請求書発行、入金消し込みまでの一連のプロセス。
コールセンターでの問い合わせの受付から初回対応、二次対応、そして対応完了までのプロセスなど、企業で行われている様々な業務プロセスに関して記録される「イベントログデータ(トランザクションデータ)」を分析し、業務改善に活用する。
プロセスマイニングで把握、「課題・問題」「解決策」
1.価値を生まないムダな業務
以前はやる価値があったが、組織変更などにより、今となっては行う価値のないムダな業務、惰性で続けられているようなプロセスを発見。
あぶり出されたムダな業務は速やかに廃止して、新たにプロセスを組み直すことが必要。
2.標準的なプロセスから逸脱し、コンプライアンス上問題のあるプロセス
マニュアルに記載されている業務手順がいつしか守られなくなり、勝手に業務の一部を簡略化するなど、逸脱したプロセスが明らかにする。
逸脱プロセスは、コンプライアンス上の問題となり、顧客や取引先などに損害を与えるリスクもある。標準プロセスに沿って行うための適切な指導やモニタリング、コンプライアンス研修などを行うべき。
3.処理待ちが溜まりがちで、リードタイムが長くなるボトルネック
ボトルネックが生じるのは、一定期間における業務量に対して処理業務のキャパシティが足りていないため。業務量の分散化や平準化を目指したプロセスの組み直しや、要員配置計画の最適化が求められる。
4.定型的な単純反復作業が含まれるプロセス
定型的な単純反復作業を人海戦術で行っている場合、多くの人手を必要とするため、長時間労働を招きやすく、ケアレスミスによって業務がさらに増えるという状況になりがち。
単純反復作業は、RPAによる業務自動化によって省人化、効率化を図るべき。長時間労働も解消され、「働き方改革」にも資する打ち手となる。
5.同じ業務なのに、スタッフ構成によって異なる生産性のバラツキ
複数のスタッフで同一業務をこなしている部署では、ベテランと新人で、スキルや習熟の差があり処理スピードが大きく異なりる。
客観的なデータからスタッフ一人ひとりの生産性を測定できるため、生産性の低いスタッフに対する集中的なトレーニングでスキルアップを図るなどの効果的な対策を打てる。
6.繁忙期の業務量の増大に対する要員配置計画の不適合による処理の遅れ
繁忙期に大幅な業務の遅れが見られたため、リソースを分析したところ、ベテランがアサインされておらず、生産性が低い新人が業務を行っていたことが原因と判明するケースがある。
スタッフ一人ひとりの生産性を把握しておけば、繁忙期に予想される業務量の見込み増加量に応じて適正な要員配置が可能になる。
プロセスマイニングツール
プロセスマイニングツールは、業務システムを通じた業務詳細データ(トランザクションデータ)が含まれるイベントログの分析のための専用ツール。
基本的に、3つの目的のために役立つ機能を備えている。
1.プロセスの発見 – Process Discovery –
ログデータをプロセスマイニングツールに取り込み、分析すると、素早く自動的に「プロセスフロー」を作図する機能を持っている。
業務プロセスの「モデル化」とは、目に見えない業務プロセスを「可視化」=発見する機能。
2.適合性評価 – Conformance Checking –
プロセスマイニングツールは、マニュアルなどに記載されている、本来行うべき業務手順に沿った「標準的な業務プロセス(to be process)」を理想モデルとして取り込み、現状モデルとの比較検証を行うことで、逸脱しているプロセスを特定する=適合性評価の機能。
3.業務プロセスの強化 – Enhancement –
プロセスマイニングツールを用いて、様々な切り口でイベントログデータを分析することで、業務プロセスの問題点を特定、修復するだけでなく、より優れた業務プロセスを開発したり、その期待される効果をシミュレーションしたり、運用後のPDCAサイクルに活用することができる。
プロセスマイニングツールは、業務プロセスを強化するために役立つ多様な機能。