4-3 DX視点 顧客ニーズ

2020年12月19日

DX視点 顧客ニーズ
「ヒアリングの道具」「課題形成の道具」を使いこなす。

「顧客に課題を聞いても教えてくれない」「十分なヒアリングができないまま、提案するだけになっている」「ヒアリングで肝心なことを聞き漏らしてしまう」「顧客のリクエストに応えたのに、提案に魅力がないと言われる」・・。

■顧客のニーズ把握のプロセス

【ニーズ把握】
ヒアリングで顧客の課題形成をし、その目的を果たすために、営業部門は「ヒアリングの道具」「課題形成の道具」を使いこなす。

①「ヒアリングの道具」とは 

  • ダミー提案
    ダミー提案とは、顧客のニーズや課題などの実態を踏まえた提案ではなく、仮説に基づいた提案を指す。
    提案する目的は顧客の課題解決にあるのではなくて、課題を把握するために行う提案。

    顧客とのリレーションが十分に構築できていない場合は、顧客が抱えている課題を営業パーソンに話してくれないことが少なくない。課題や問題点を外部の人間に伝えることを躊躇していたり、顧客自身が問題として認識していなかったりすることもある。営業担当が顧客の課題を聞き出すことができない場合、ダミー提案は大きな効力を発揮することになる。
  • 質問の技術
    質問の基本は、拡大質問(オープンクエッション)が基本。拡大質問とは、相手に自由な意見や感想などを述べてもらう質問形式。ところが、顧客の中には口の重たい人がいる。営業担当がいくら質問しても、あまり積極的に答えてくれない。このタイプの顧客は、質問に答えたくないというよりも、話すことがあまり好きでないという人が多い。

    このような顧客に対して、限定質問(クローズドクエッション)が有効です。限定質問は、答えの選択肢を限定して質問する方法で、YESかNOかというように、選択式で相手が答えられるように質問する。顧客は答えを選ぶだけでよいわけだから、あまり負担を掛けずに質問に答えることがでる。

    営業経験の浅い営業担当、何を質問すればいいのかすら、分かっていない。ですから、事前に質問事項を準備するのは必須条件としても、それでもヒアリングの場面になると聞き漏らしが出てくる。

    聞き漏らしを防止するには、連鎖質問が効力を発揮する。
    連鎖質問とは5W1Hで質問を展開するという方法です。ある事実(What)を顧客から聞き出したときに、「いつ(When)のことですか」「それをしたのは、どなた(Who)ですか」「どこで(Where)起こったのですか」「それは、なぜ(why)ですか」「それは、どのように(How-to)したのですか」と、連鎖的に質問を展開する。連鎖質問を活用すれば、自然な会話のなかで重要なポイントを質問することができるようになる。
     
  • 観察の技術

    顧客の心の声は、言葉よりも動作に表れる。顧客が話している言葉と、態度や表情が違っている場合には、言葉よりも態度の方が真実を表していることが多い。

    ヒアリングによって情報を収集しら、次のステップは顧客の問題点や解決すべき課題を明らかにすること。このステップのポイントは、顧客が要望している内容や表面的な問題点ばかりに目を向けるのではなく、顧客の真の問題や解決すべき課題に焦点を合わせることにある。

    他社よりも魅力的な提案をするためには、解決する課題自体を魅力的なものにフォーカスする必要がある。

②「課題形成の道具」とは

  • SWOT分析
    解決する価値の大きな課題にフォーカスすることが重要。経営課題に近いテーマを課題に取り上げるほど、顧客の経営トップ層の評価は高まるということ。ヒアリングによって得られた情報は、顧客の実態に即したミクロ課題が多く含まれている。従って、ミクロな視点から課題を整理することはできても、経営全体をとらえたマクロ的な視点が不足する可能性が高い。

    顧客のSWOT分析をすることにより、マクロ的な視点から顧客の課題を整理して、経営課題を踏まえたソリューション課題を選定することが重要になる。SWOT分析とは、顧客の強み(Strength)と弱み(Weakness)、外部環境の機会(Opportunity)と脅威(Threat)を分析する手法。
     
     
  • 問題構造化ダイヤグラム
    顧客の問題点や、SWOT分析などから導き出した問題点や課題を構造化する手法として、問題構造化ダイヤグラムを活用するとよい。
     
    「なぜ、そのような現象が起こったのか」「それ以外にも問題の原因はないのか」と「5つの何故」を繰り返していくうちに、本当に解決しなければならない問題点が見えてくる。

4-4 DX分析 プロセスモデル図」に続く。

Posted by exa103