4-2 DX実行 巻込み力

2020年12月18日

DX実行 巻込み力
巻込み力,「ポジティブシンキング」「聞き力」「調整力」

新しいビジネスの創造は、様々な方法論が日々開発・実践されている。
しかし、プロセスを学びフレームワークやツールに習熟しただけでは、新しいビジネスの創造はできない。

重要な要素は、知識を活用しながら生まれたアイデアや構想を実現するために、「ポジティブシンキング」「聞き力」「調整力」を身に着け、周囲の協力者を得て、共に創造するための関係を構築し、DX構想を成し遂げていく大きな「巻き込み力」の獲得となる。

■ポジティブシンキング

ポジティブ志向を持ち合わせており、協業して実施するような仲間を作る能力が必要となる。変革していくには、一人では出来ず外部と協業する仲間の関係性を築いていくことになる。

新しいビジネスを創造するには、本質的な価値を追求し、現状を否定して変えていくことでもある。何でも決められたことに対し前向きに捉えるのではなく、当たり前に疑問を抱き、信念を持って、時に批判していくような思考がも必要。

「自社のために」というストーリーから優秀な人材を増やすのではなく、「社会のために」というストーリーで同志、仲間を作るという姿勢が必要。

■聞き力

相手の意見を聞く能力も必要。自身の意見・考えをもつことも重要であるが、他人の意見を聞かないとDXは起こせない。他領域とのコラボレーションを実施することでDXが起こるため、お互いを尊重し合い、調整する能力が必要。

リーダーにはすべての情報が集約・統合され、その情報の量や質の違いで部下を統制するようなマネジメントが優れているとされてきたが、現在では現実的ではない。チーム全員が活発に情報を共有し、議論し合い、新たな知識を生み出し続けるような環境をつくることが、リーダーに必要な素養。

■調整力

人事部の主導でアサインするということではなく、外部を含めて周囲を巻き込んで、自然と人が集まりDX事業が立ち上がる。これまでになかったものを創造するためには、新たに人を集めるしか方法がない。みんなが協力して動かなければ、DXは立ち上がらない。

社内単独で行う開発プロジェクトなら企業内での調整を円滑に行う力が重宝された。しかし、新規ビジネスの創造には企業の中で縦割り化された組織間の調整だけでなく、企業間や企業と行政などのセクターを跨いだ、より大きな枠組みでの調整が必要な場面に直面することがある。すでにDXを動かしている人たちは組織内の調整は後回しで、とにかく社外の人と会いながら、関係性を作り出し、行動を起こしている。

役割分担を明確にしすぎると、各人のできることを固定化してしまい、開発が鈍化してしまうこともある。必要なのは明確な役割分担より、重複しても役割を超えて各自が主体的に取組み、各々の役割を広げていけるようなチーム作り。

■DX的な「巻込み力」

  • 何事も前向きに捉えることができる→「当たり前」に疑問を抱き批判できる
     
  • ルールに従って戦う術に長けている→ルールを作り変えるための戦いに挑む
     
  • 社内での調整を円滑に行える→社内調整は後回しで組織外に越境していく
     
  • 会社中心のストーリーで部下を獲得する→社会中心のストーリーで仲間を獲得する
     
  • 各自の能力を適切に見極めチームを作る→各自が役割を超えて取り組めるチームを作る
     
  • 利害関係のある相手を巧みに動かす→利害関係のない協力者が支えてくれる
     
  • 情報 自社の技術や自身の成功体験を活かす→未開拓・不安定な領域や技術を好む
     
  • 情報を集約し統制することに注意を払う→情報が活発に行き交う環境を作る
     
  • 合理的に判断できる意思決定をする→時に合理的とは言えない意思決定をする

4-2 DX実行 当事者意識」へ続く。

Posted by exa103